ここ数年で急激にIT業界の様相を変化させているのがサービスのクラウド化。実に多くのサービスが面倒なインストール作業なしにウェブブラウザを介して利用できる様になりました。
実はインフラエンジニア業界にもクラウド化の波は押し寄せています。将来に渡って活躍できるインフラエンジニアのキーワードとなるのがAWSなどの「クラウドサービス」です。
本記事ではインフラエンジニアにとっての「AWSスキルの必要性」「取得すべきAWS資格」について紹介します。
Contents
オンプレミスからクラウド環境への時代の流れ
これまでのインフラエンジニア(サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア)はデータセンターやサーバールームなどの物理端末に対してサーバー/ネットワーク機器の設計・構築・運用を行うのが主な仕事でした。
オンプレミス環境をクラウドインフラのサービスに置き換えると、オンライン上に仮想化されたサーバー・ネットワークが利用できるため物理端末を所有することなく、システムやアプリが構築可能となります。
運用コストの削減につながる
新たなサービスを立ち上げるたびに機材の購入が必要であるオンプレミスのサービスと異なり、AWSなどのクラウドインフラを使用する場合は実機を準備することなく「必要な時に」「必要なだけ」のプラットフォーム基盤をオンライン上で利用する事ができます。
例えば、新たなサービスを開始する際、初めは安価なクラウド基盤の構成でスタートし、グロースにあわせて増強していく事も容易です。初期投資の大きなリスクを負うことなく、必要にあわせた運用が簡単に行えるためサービス運用コストの削減も可能となります。
冗長性が高まる
サービスが成長し当初の想定よりも多数のユーザーが集まってくると、そのアクセスをさばくためにサーバーの増強が必要となる事があります。こういった場合にもクラウドは画面上の操作だけでサーバーの台数を増やしたり、高スペックな仮想マシンに乗せ換えたりすることが可能です。逆にアクセス現象に応じてサーバー台数を減らす事もできるのです。
サービスの本質によりコミットできるようになる
このようにインフラをクラウド化することで、インフラの導入や管理にかかる手間が大きく削減されるため、企業はサービスの本質的な部分の開発/改善により注力することができるようになります。
サービスを利用するエンドユーザーにとっても、開発企業にとってもメリットが大きいのがクラウドインフラといえるでしょう。
クラウド化は拡大し続ける
以上のようなメリットから大きなトレンドであるクラウドインフラは今後も継続し、大小様々なサービスがクラウド化してくことでしょう。インフラエンジニアも旧来型のオンプレミスの基礎技術に加え、AWSなどのクラウドインフラスキルを高めていくことがエンジニアとしての価値を高める事につながります。
クラウドインフラはインフラを仮想化したサービスであるため、プラットフォームを扱うための基礎知識はオンプレミスの知見はそのまま生かせます。プラスアルファでAWSなどのパブリッククラウドを介してプラットフォームを扱うための知識を体系的に学ぶことでAWSエンジニアの域に達することができるでしょう。
クラウドエンジニアがおさえておきたいAWSの資格
AWSのサービスって実はかなり複雑。普段使っている人でも把握しきれないれない程の多くのサービスに細分化されています。
サービスを一覧にすると次の通りです。
出典: AWS
驚くほどの数ですよね。でも実際のサービス運用でも利用するのはごく一部ですので、必要に応じて学んでいけば問題ありません。
AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト(SAA)がおすすめ
AWS認定資格という切り口においても、その種類やレベルは様々。
各種のAWS認定資格を図でまとめたものが以下です。
この中でもAWSエンジニアへのエントリーにおすすめなのが、AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト試験(SAA)です。
アソシエイト試験(SAA)を取得することで、AWSを扱う技術者として必要な実践的な基礎知識と経験を有する事が証明できます。
アソシエイト試験で検証される能力
- AWS のテクノロジーを使用して安全で堅牢なアプリケーションを構築およびデプロイするための知識を効果的に証明すること
- 顧客の要件に基づき、アーキテクチャ設計原則に沿ってソリューションを定義できること
- プロジェクトのライフサイクルを通して、ベストプラクティスに基づく実装ガイダンスを組織に提供できること
出典: AWS
なるほど。分からん。。となりますが丸くいうと
「AWSの作法にのっとって、お客様の要望を満たしたアプリの基盤が構築できること」
くらいの解釈で良いかと思います。
試験時間や受験料
出題形式 | 複数の選択肢と複数の答えがある問題 |
試験場所 | テストセンターまたはオンラインプロクター試験 |
試験時間 | 130 分間 |
受験料金 | 15,000 円(税別) |
試験時間は130分と長丁場で受験料はやや高め。(CCNAと比べると安く見える不思議。。)
試験会場はかなり多く全国各地で受験することができます。
OnVUE試験で自宅で受験も可能
コロナの影響もあり出控えている人も多いと思います。AWS認定試験は自宅からオンラインで受験することも可能なんです。
ただし、自宅にネット接続可能なPCがある事以外に以下の受験環境の準備が必要です。
- 1人になれる静かな部屋
- Webカメラを備えた信頼できる機器
- 安定したインターネット接続
SAAの合格率と勉強時間
AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトは入門~基本レベルなので高難度の試験という事はありません。しっかりと対策を行えば1か月(50時間程度)の勉強で合格可能です。
※IT初心者の場合は100時間程度
合格率 | 非公開(一部ネットの情報によると推定50%前後) |
難易度 | LPICLevel1、ITパスポートより難しい、基本情報、CCNAと同程度 |
勉強時間 | 50時間~100時間 |
難易度的には基本情報技術者試験やCCNAと大体同程度で人によって上下するというレベル感です。IT経験者であれば1か月(50時間)、初心者・IT未経験者でも2か月(100時間程)を目安に合格を狙うことができます。
他の資格との受験の順番について
AWSというサービスはオンプレミスをクラウド化したサービスであるので、可能であれば基礎技術となる基本情報技術者試験やCCNA、LPICといった資格を勉強した後に受験するのが順番的には効率が良いでしょう。
AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイトの勉強方法
AWSは新しい技術分野であり試験としても比較的新しいですが、認定試験としての認知度や需要が高まっており学習教材も急速に充実してきています。
以下の理由から書籍のみでの独学が難しいため、合格者の多くは「書籍」「オンライン動画学習」「WEBサイト」といった複数の教材を組み合わせて勉強しています。
- AWSの各種サービスのイメージを掴むのには、オンライン動画学習が最も効果的
- 新試験版(SAA-C02)に対応した日本語の参考書がほぼ無い
- 高難度の模擬試験のやりこみが必要
未経験から最短での合格を目指す場合のゴールデンパターンは下記の様なイメージ。
- オンライン動画学習で各種サービスを使いながら概要を把握する
- 動画概要でハンズオンした内容を参考書とWEBサイトで深堀り
- 動画学習の模擬試験とWEBサイトの問題集を反復する
各勉強方法について詳しく説明していきます。
1.オンライン動画学習サービスで勉強する
オンライン動画学習サービスとして有名なUdemyではAWSの学習コースも充実しています。
SAA受験時に利用すべきコースはこちら↓ ※新試験版(SAA-C02)に対応済み
「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」
「【SAA-C02版】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」
動画学習のメリットは実際にAWSのサービスを操作してみるハンズオンが行えること。触って実際に動かす事で紙面や画像よりもAWSサービスへの理解が格段に早まります。
模擬試験問題集の方は書籍やWEBでも代替可能ですが、高難度の問題がまとまっているため動画学習の利用価値は高いです。
2.参考書とWEBサイトで勉強する
オンライン動画学習で概要を学んだサービスについて、参考書やWEBサイトで理解を深めます。動画学習と並行して実践して問題ありません。
WEBサイト
WEBサイトは「AWS サービス別資料(通称ブラックベルト)」と呼ばれる資料が無料公開されています。強化したいサービスを検索して知識を補強しましょう。
参考書/関連書籍
書籍は選択肢がいくつかありますが、Qiitaの合格体験記で定番としてあげられているものを紹介します。2020年7月現在、新試験に対応した日本語の書籍が無いため一部記述が古いケースがありますので留意ください。
■AWS認定資格試験テキスト AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト
■一夜漬け AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト 直前対策テキスト
■徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト ※通称「黒本」
3.模擬試験と問題集を反復する
オンライン動画学習であれば、前述の「【SAA-C02版】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」がおすすめ。
無料で探す場合は以下のWEBサイトの問題集が充実しています。
目安としては模擬試験で9割近くをコンスタントにとれるようになれば安心して試験にチャレンジできるでしょう。