インフラエンジニアのキャリアをスタートする場合、どのようなキャリアパスが考えられるでしょうか。職種に限らずキャリアパスをイメージしておくことは自分の成長や人生設計にとっても重要です。
企業の採用面接でも「あなたのキャリアプランを教えてください」と、インフラエンジニアという仕事に対する理解と考えを問われる事があるかもしれません。また、女性エンジニアにとっては出産・育児期間を前提にしたキャリアプランというのも重要でしょう。
本記事ではインフラエンジニアの仕事内容とキャリアパス、今後のIT業界を生き抜くための戦略について解説していきます。
Contents
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアはITエンジニアの内、サーバーやネットワークといったシステムやアプリケーションを構築する基盤の設計・運用・保守を専門とするエンジニアを指します。
アプリケーションを裏で支える役目なので、その活躍がユーザーの目に見えることはありませんが、生活インフラの電気・ガス・水道の様に必要不可欠な存在です。
インフラエンジニアの仕事を分解すると次のような工程に分けられます。
- 要件定義
- 設計・構築
- 運用・保守
- 監視
- テスト
上(上流工程)から順に経験や包括的な知識が必要とされており、上に行くほど収入もアップする傾向にあるため、エンジニアのキャリアアップでは上流工程のポジションを目指すこととなるでしょう。
未経験者の多くはテストや運用保守といった業務からキャリアをスタートします。
それでは、各工程をもう少し詳しく掘り下げていきます。未経験者からのスタートを想定して下流工程から順にみていきましょう。
テスト
テスト工程では構築した機器が問題なく設計書通りに動作するかのチェックを実施します。現場によって呼び方は様々ですが「テスター」や「テストエンジニア」がここを担当します。
テストデータの投入やテストコマンドの実行など、テスト仕様書に記載されている手順の通り操作を行うのがメインとなるので高度なスキルは不要です。ITのキャリアをスタートした人の初めての仕事となる事も多いでしょう。
監視
未経験者の2つ目の登竜門ともいえる業務が「監視オペレーター」。
システムの稼働状況を監視し、トラブルが発生した場合にマニュアルに沿った対応やエスカレーションが求められます。ユーザーからの問い合わせ対応(電話対応)も業務の一環です。運用業務の一部として兼務される場合もあります。
24時間365日稼働している様なシステムでは夜勤シフトが組まれての監視体制となることもあります。
運用・保守
監視業務から一つステップアップすると、トラブルを監視するだけではなく、実際に発生した障害の調査や対応を実施できるようになります。インフラエンジニとしての知識や問題解決能力が求められる役割なのでやりがいはあります。
トラブルは学びのチャンスなので運用・保守でしっかりと知見を広げておくことが短期間での成長につながるでしょう。
設計・構築
システムの要件にあわせて「どのような機器構成や設定にするか」「稼働後の運用はどのようにするか」など、幅広い専門知識を生かして正常に動き続けられるインフラ環境を設計構築します。
設計・構築までできるようになるとインフラエンジニとしても一人前でIT業界での市場価値も高いです。
要件定義
顧客と要件定義をすり合わせたり、プロジェクト全体の進行をコントロールするのがPM(プロジェクトマネージャー)の職務。
全体を俯瞰できる専門知識も必要ではありますが、とちらかというとお客さんと折衝ができるコミュニケーション能力やプロジェクトを適切に管理できるマネージメント能力の方が求められます。
設計・構築より上流はマネージメント色の強い業務内容となり性格的な向き/不向きも影響してきますので、キャリアパスとして目指すか否かは人の趣向によるところでしょう。
マネージメント層へは行かずに設計・構築の技術を研磨し、よりスキルが求められ待遇の良い企業へキャリアチェンジというのも選択の一つとなります。
未経験者エンジニアからのステップアップについて
インフラエンジニアとして未経験からキャリアをスタートすること自体はさほど難しくありません。就活一体型のプログラミングスクールでは最速1ヶ月程度での研修・就活プランを用意しているところもあるほど。
しかしながら、先に注意しておきたいのは就活先の企業を吟味せずにインしてしまうことです。
なんちゃってIT企業には要注意
企業の中にはオペレーターや電話サポートなどスキルのいらない案件だけを受注し、大量の安い人材を動かす事のみで利益を上げているようなところあります。
こうしたITの皮を被った人材派遣会社にいてもキャリア構築が難しいため、上流工程まで行える会社や自社開発を行っている会社など、技術力を価値としていることが見える企業を積極的に狙っていきましょう。
手っ取り早く就職できる会社に入り、業務経験を得てからワンランク上の会社に転職するという戦略もありますが、回り道や不要な苦労は無いにこしたことはないので、最低限の就職先リサーチは絶対に実施しましょう。
空き時間を有効活用しよう
無事インフラエンジニアのキャリアをスタートした際には、空き時間を知識習得や資格勉強などの自己投資に当てることで、短期でのキャリアアップが狙えます。
未経験者がはじめに担当するであろう監視・運用・保守の業務は勤務体系がアグレッシブな事も多いですが、空き時間を見つけやすいポジションです。
設計や構築もこなせるようになると自分のやりたいことや適正が見えてくる頃かと思いますので、マネージメントや上流工程のポジションを目指すのも良し、技術を深めてスペシャリスト的な立ち位置を確立することも視野に入ってくるでしょう。
女性エンジニアのキャリアプラン
女性がエンジニアとしてやっていく場合の大きな不安の一つに出産や育児があると思います。IT業界は男性が圧倒的に多い事もあり、まだまだ女性の働きやすさやキャリアパスが十分整っていない企業も多いです。
女性がキャリアパスを考えて企業選びをする際には次の点をチェックしておくと良いでしょう。
- 女性社員の割合
- 夜勤・休日出勤・残業の多さ
- 企業としての事業の幅の広さ、ポジションの多さ
女性社員の割合
女性社員はもちろん多い方が良いです。女性のための福利厚生が充実していたり、産休・育休後の復職率が高く女性が働きやすい環境である可能性が高いためです。
IT業界で働くエンジニアのうち、女性の比率は約2割と言われています。体感はもっと少ない気もしますが一つの指標としてチェックしておきましょう。
夜勤・休日出勤の多さ
夜勤・休日出勤・残業が多い職場は避けた方が良いでしょう。若くて経験が浅い内はバリバリ働くのも良いですが、そのような現場は育児との相性は悪く両立はほぼ不可能です。
もちろん育児世代に対して理解がある企業も多く配慮してくれる現場もありますが、会社全体として健全な勤務環境が整っている方が安心です。
企業としての事業の幅広さ、ポジションの多さ
女性エンジニアで長くやっていく場合、受託や派遣をメインでやっている会社はあまりオススメできません。理由は働き方の不安定さにあります。
勤務体系や残業の度合いは客先次第となるケースが多く、自分の裁量でコントロールできない場合も多いのです。都度、営業や上長にかけあって別の案件にアサインしてもらう事も可能かもしれせんが、次の現場が必ずしも素晴らしいところとは限りません。
その点でいうと、自社開発会社や事業会社の方が長期間の安定したキャリアが築きやすいかと思います。
客先が無いため自社内で働き方をコントロールできたり、事業会社では広報やサポートセンターなど第一線のエンジニア以外のポストがあるため、キャリアの転換や軌道修正が行いやすいでしょう。
インフラエンジニアの生存戦略
これまでの経験を振り返りつつ、長きにわたりインフラエンジニアとして生存していくための戦略を提案させていただきます。
クラウドインフラを学ぼう
オンプレミスからクラウドインフラへの移行が進んでいます。すでにAWSエンジニアの確保が急務となっている現場も多いでしょう。オンプレの仕事自体がすぐに無くなる訳ではありませんが、徐々にでも確実にクラウドへの移行が進んでい事は事実。遅かれ早かれクラウドスキルは習得していく必要があります。
時代の流れに乗るため、そしてキャリアアップのチャンスを逃さないため。技術の動向にアンテナを張り積極的に学んでいきましょう。
プログラマーの知識を身につけよう
特にスタートアップ界隈ではフルスタックエンジニアとして「アプリもインフラも何でもやってます」というような現場も聞きます。クラウドインフラを採用することで運用コストが下がる事もあり、インフラだけを担当するポストが存在しないという訳です。
今後も大きく進み続ける技術革新に備えて、アプリケーションの一つでも作れるようになると経験的にも市場価値的にも大きいです。
インフラエンジニア × ○○○○ スキルの掛け算を作ろう
先の話にもつながりますが、インフラエンジニアの固有の業務内容に終始しているとステップアップの可能性を狭めてしまう可能性があります。
実はIT業界でも本当のスペシャリストになれる人はほんの一握り。多くの人は複数のスキルを掛け合わせてることで市場価値を高めています。インフラエンジニアにも同じことが言えるでしょう。
例えば、
- インフラエンジニア × アプリケーションエンジニア
- インフラエンジニア × 広報
- インフラエンジニア × WEBマーケティング
- インフラエンジニア × 漫画
- インフラエンジニア × ブログ
探してみると掛け算の組み合わせは無限にあります。これらの中から自分のモノを見つけて、掛け算を増やしていく事で希少性を高めていく事がIT業界での生存戦略となり得るのです。